5-3-2-1 [瑕疵ある意思表示] 民法第96条第1項, 民法121条

第 5 章 法律行為 2025/4/12 分


第 3 節 意思表示 2


1 瑕疵ある意思表示


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瑕疵 取り消す 遡及 不存在 有効


川西郵便局で販売されていたカード
2025年4月12日現在
作成日 2025年4月12日(土)・20:47
作成者 法律 blogger 浅田美鈴


[瑕疵ある意思表示]


詐欺や強迫など、他人から不当な干渉を受けてなされた意思表示は、意思に欠陥があるもの(瑕疵*ある意思表示)とされる。


民法は瑕疵ある意思表示については、他人の不当な干渉によって意思決定をした表意者を保護するため、これを取り消すことができるとした(民法第96第1項)。表意者が意思表示を取り消すと、その意思表示は遡及的に無効とみなされる(民法121条)。すなわち、はじめから意思表示はなかったものとされる。


瑕疵ある意思表示については、心裡留保, 虚偽表示, 錯誤といった意思の不存在の場合とは異なり、「この車を買う。」等の内心的効果意思はあることから、無効という強い効果ではなく、取り消すことができるという効果が得られる。意思表示が無効の場合であれば、法律効果は何も生じないが、取り消すことができる場合は、表意者が取り消さないかぎり有効である。


*瑕疵: 傷や欠点、欠陥があること。人がだまされたり脅されたりして行った意思表示は、無効とはいえないものの、完全に有効とも言えない。そのため、詐欺や脅迫によってされた意思表示は「瑕疵のある意思表示」と呼ばれる。


[民法]

(詐欺又は強迫)

第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。

3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。


(取消しの効果)

第百二十一条 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。

https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089


【画像内の文】

Any manifestation of intention that is made due to undue interference from another person, such as fraud or duress, is considered to be defective (defective manifestation of intention).


[Civil Code]

(Fraud or duress)

Article 96

(Effect of rescission)

Article 121 


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ニュートン司法書士合格対策チーム 編著『NEWTON 合格保証 TLTソフト 司法書士テキスト 1 民法総則』NEWTON, 2008, P133