▓ 1.フォーラム7での課題 P107
非嫡出子差別は違憲か?
〔最一判平16・10・14における裁判官才口千晴の反対意見〕が著されています。
文章内に示されている法律は、
・民法900条4号ただし書前段の規定(2007年当時は、非嫡出子の法定相続分を嫡出子の相続分の二分の一と定められていて、それを憲法14条1項に違反して無効であるという主張)
・憲法14条1項(e-Gov法令参照[1])
→ これは大学の民法でもこの問題は取り上げられていて、法改正が行われたと思います。
行われてました。
法務省サイトより
平成25年(2013年)12月5日,民法の一部を改正する法律が成立し,嫡出でない子の相続分が嫡出子の相続分と同等になりました(同月11日公布・施行)。
民法の改正の概要
1 法定相続分を定めた民法の規定のうち嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1と定めた部分(900条4号ただし書前半部分)を削除し,嫡出子と嫡出でない子の相続分を同等にしました(注)[1]。
[1]引用サイト:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00143.html
▓ 2 解題に向けて P108
(1)私たちは、自由に生き、平等に…………
(2)では、歴史的に………何が差別の原因…………
(3)平等が実現された社会、…………
→…………平等について日本国憲法14条[1]を中心に分析を進める。
[1]第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
② 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
③ 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する[1]。
[1]引用サイト:
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=321CONSTITUTION_19470503_000000000000000
▓ 3 解題のための基本的情報 PP 108-109
(1)人は「生まれながらにして」平等といえるのであろうか
◆平等に関わる宣言例
アメリカ「独立宣言」(1776年)
→ 当時の「人」というのは「白人男性」を意味し、女性や黒人は「人」として認められてなかった。
(2)明治憲法と日本国憲法との比較。
・憲法14条2項/24条(家族生活における平等)/26条(教育の機会均等)/15条3項(普通選挙制)44条但書(そんなのないです)[2]
[2]日本国憲法
コラム14
〔福沢諭吉『学問のすゝめ』岩波文庫、11頁より〕
▓ 4 法の下の平等の意味 PP 111-117
(1)「平等」についてはさまざまな考えがある
表6
① 形式的平等 | 実質的平等
② 絶対的平等 | 相対的平等
③ 機会の平等 | 結果の平等
…………次に、憲法14条1項から、何が「不合理な理由にもとづく区別」であるか考えてみよう。
(3)14条1項後段の列挙事由は不合理な区別の代表例と考えられる
(a)限定的列挙説
(b)代表的例示説
(c)単純例示説
(b)を検討
→(イ)人種(ハ)性別(ニ)社会的身分(ホ)門地
〔判例〕
尊属殺重罰規定違憲判決
(最大判昭48・4・4)[3]
[3]https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/尊属殺重罰規定違憲判決
(3)「差別」から「平等」のあり方を問うこともできる
憲法14条1項は、国民の「差別さらない権利」を保証すると同時に、国に対して差別を禁止している。
…………「有害な」「不平等な」「非好意的な」差別
▶ 用語解説ー差別の意味
『年報差別問題研究1』明石書店, 111-112頁
▓ 今後の課題 PP 117-118
(1) 差別撤廃に向けての方策は万全か
アメリカにおいて論議され導入されている(積極的差別解消策)
(2) 中立規定であっても差別がなくなったわけではない
民法750条「男は、女は→夫又は妻は」
国籍法2条「父が(旧規定)→父又は母が」
結婚・離婚によって改姓を余儀なくされる女性→夫婦別姓制度が検討。
畑 博行 阪本昌成『憲法フォーラム』有信堂高文社, 2007, PP 107-118