(3) 憲法は公金支出に関しいくつかの制限を課している
第1段落目
国の議決を経ても公金支出ができない場合もある
憲法89条で公金の利用に供してはならないもの
1. 宗教上の組織若しくは団体への使用 [No]
2. 公の支配に属さない慈善事業 [No]
3. 教育者若しくは博愛の事業 [No]
上記 1.2.3 の 便宜または維持のためは [No]
第2段落目
正教分離(憲法20条1項)の定めがあるところを前置きした上で憲法89条の見識が著されている。
第3段落目
「公の支配に属しない」ことについての筆者の見解が著されている。
第4段落目
私学助成は「公の支配に属しない」教育事業への財政援助にあたるか。
学説はA説とB説があげられている。
A説 私学助成の合憲性に疑義を呈する。
B説 14条(平等原則) 23条(学問の自由) 25条(生存権) 26条(教育権) などの条項や私学に対する国の監督(法律で定められている)の程度を考え合わせた上で「公の支配」の要件を満たし、私学助成を合憲とする説。
〔判例〕
千葉地判昭61・5・28
はB説に立つ。
行政事件 裁判例集
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事件番号 昭和57(行ウ)6等
事件名 違法公金支出差止請求,土地無償譲渡差止請求事件
裁判年月日 昭和61年5月28日
裁判所名 千葉地方裁判所
分野 行政
判示事項
1 憲法89条にいう「公の支配」の意義と私立学校に対する公的助成の許否
2 市が,私立大学医学部附属病院の誘致計画に基づいて取得した右病院建設用地の造成費用等に充てるために公金を支出すること及び右用地を右大学に無償で譲渡することが,右公金支出等には教育振興の目的が含まれ,また,公金の使途が明らかであるとともにその支出に伴う公的な監督権限の担保もある上,右公金支出等は右大学の私立学校としての独自性等を侵すものでもないとして,憲法89条に違反しないとされた事例
3 地方自治法242条の2第1項1号に基づき,市民が市長に対してした私立大学医学部附属病院建設用地の造成費用等に充てるための公金の支出及び右用地の右大学に対する無償譲渡の各差止請求が,右公金支出等は違法なものであるとはいえないとして,棄却された事例
裁判要旨
1 憲法89条にいう「公の支配」に属しているというためには,同条所定の事業を行う団体等が,国又は地方公共団体による人事,組織及び予算等についての根本的な支配を受けていることまでは必要とせず,それより軽度の法的規制に基づく支配を受けていれば足りると解すべきであり,教育関係法規による法的規制を受けている私立学校は,右にいう「公の支配」に属していると解され,これに対する公的助成は,学問の自由,思想及び良心の自由を侵害しない限り,憲法秩序全体の趣旨から許される[1]。
[1]https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=36009
[日本国憲法]
https://laws.e-gov.go.jp/law/321CONSTITUTION
畑 博行 阪本昌成『憲法フォーラム』有信堂高文社, 2007, PP 222-238
内:PP230-231
財政
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