国際法が国内法に承認された場合、その国内法上の効力についても、各国の憲法体系の定めるところによる。
日本国憲法は明示的に規定をしていないため、解釈に付託することになる。
学説は、国際法優位説と憲法優位説が対立。今日では、憲法優位説へと一元化されつつある。
その理由は、第一に、日本国憲法九八条一項が
「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」 と規定していることと、
第二に、憲法の改正 は厳格な手続によってのみ可能であるのに、簡単な手続で締結される条約が優位して、憲法が修正されると把握してはならない。
と、著書の考えが述べられている。
表14 各国憲法における国際法の地位(採択年/改正年)
憲法と同位
条約
オランダ憲法 (1815/1983)91条3項*
オーストリア憲法(1955/1964)50条3項*
憲法より下位 法律より上位
条約
日本国憲法(1946)98条2項**
イタリア憲法 (1947)10条1項
フランス憲法 (1958)54-55条
チュニジア憲法 (1959)48条
パラグアイ憲法(1967)8条
ギリシア憲法 (1975)28条1項
ドイツ連邦基本法(1949)25条
法律と同位
条約
アメリカ憲法 (1788)6条2節**
スイス憲法(1874/1964)113条**
メキシコ憲法 (1917/1966)133条
コンゴ憲法 (1979)108条
韓国憲法(1980)5条1項
法律より下位
条約
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憲法より下位 法律より上位
慣習国際法
日本国憲法(1946)98条2項**
イタリア憲法 (1947)10条1項
ドイツ連邦基本法(1949)25条
法律より下位
慣習国際法
イギリス憲法***
アメリカ憲法***
* 条約承認には憲法改正と同様の手続が必要
** 明文規定ではなく解釈による
*** 憲法慣習による
◆本著書の「表14」より引用
畑 博行 阪本昌成『憲法フォーラム』有信堂高文社, 2007, PP261-277
内:PP272-273
国際社会と憲法
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