🌏 ▓ 6 国内法体系における憲法と国際法との関係 国際社会と憲法ーーーーーフォーラム15

国際法が国内法に承認された場合、その国内法上の効力についても、各国の憲法体系の定めるところによる。  

日本国憲法は明示的に規定をしていないため、解釈に付託することになる。

学説は、国際法優位説と憲法優位説が対立。今日では、憲法優位説へと一元化されつつある。   

その理由は、第一に、日本国憲法九八条一項が

「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」 と規定していることと、

第二に、憲法の改正 は厳格な手続によってのみ可能であるのに、簡単な手続で締結される条約が優位して、憲法が修正されると把握してはならない。


と、著書の考えが述べられている。


表14 各国憲法における国際法の地位(採択年/改正年)


憲法と同位

条約

オランダ憲法 (1815/1983)91条3項*

オーストリア憲法(1955/1964)50条3項* 


憲法より下位 法律より上位

条約

日本国憲法(1946)98条2項**

イタリア憲法 (1947)10条1項

フランス憲法 (1958)54-55条

チュニジア憲法 (1959)48条

パラグアイ憲法(1967)8条

ギリシア憲法 (1975)28条1項

ドイツ連邦基本法(1949)25条


法律と同位

条約

アメリカ憲法 (1788)6条2節**

スイス憲法(1874/1964)113条**

メキシコ憲法 (1917/1966)133条

コンゴ憲法 (1979)108条

韓国憲法(1980)5条1項


法律より下位

条約

      ーーーー


憲法より下位 法律より上位

慣習国際法

日本国憲法(1946)98条2項**

イタリア憲法 (1947)10条1項

ドイツ連邦基本法(1949)25条


法律より下位 

慣習国際法

イギリス憲法***

アメリカ憲法***


* 条約承認には憲法改正と同様の手続が必要

** 明文規定ではなく解釈による

*** 憲法慣習による

◆本著書の「表14」より引用


畑 博行 阪本昌成『憲法フォーラム』有信堂高文社, 2007, PP261-277

内:PP272-273

国際社会と憲法

ーーーーーーーフォーラム15