▶ 憲法と矛盾するような条約が締結された場合または国内法上のある種の理由から条約上の義務が履行できない場合は
1.条約が発効している限り国際法上は有効なものとして取り扱われる。
2.国内法(憲法を含む)の規定を理由に国際法上の義務を免れえない。
▶ 国家の慣行、各種の国際裁判所の 判決、学説との一致は
⦿一致している。
▶ 条約に関するウィーン条約二七条も同じ趣旨の規定を有しており、おしなべてに承認された原則。
条約法に関するウィーン条約
【署名】一九六九年五月二三日(ウィーン)
【署名】一九八〇年一月二七日
【法令番号 】一九八一年七月二十日条約第十六号
【施行年月日】一九八一年八月一日外務省告示第二百八十二号
第三部 条約の遵守、適用及び解釈
第一節 条約の遵守
第二十六条(「合意は守られなければならない」) 効力を有するすべての条約は、当事国を拘束し、当事国は、これらの条約を誠実に履行しなければならない。
第二十七条(国内法と条約の遵守) 当事国は、条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない。この規則は、第四十六条の規定の適用を妨げるものではない[1]。
[1]https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/vclot.htm
▶ 憲法を含む国内法に反するような条約が締結された場合政府は
1.問題のある規定を改廃しする。
2.国内法と条約とを整合させる。
→国内法の改廃が行われない場合
・国家は国内法の存在を理由に国際法上の義務の履行を免れえない。
・国家の国際違法行為が成立する。
違法行為国は義務の不履行により法益の侵害を受けた国家に対して国際責任を負う。
・実害が発生しない場合でも、条約違反の場合には国家責任が発生する(二○○一年の国連国際法委員会の国家責任条約草案1条, 2条)
AI による概要
2001年の国連国際法委員会の国家責任条約草案の1条と2条については、次の情報があります。
1条:国家責任条約草案の1条では、国家や公共団体が公権力の行使に携わる公務員が、職務の遂行において故意や過失により他人に損害を与えた場合、国家や公共団体がその損害を賠償する責任を負うとされています。
▶ 国家の国際違法行為が成立し、その国家の責任が発生した場合
1.国際法上は違法行為国は責任を解除で義務を負う。
すなわち条約義務に違反する国内法の状態を是正すべき義務を負うことである。
2.被害国は違法行為に対して、国家 責任を追及する権利が発生する。
3.責任解除の方法としては、原状回復、金銭賠償、陳謝などの行為がある。
4.条約義務違反の場合は国内法の改廃を求められる。
畑 博行 阪本昌成『憲法フォーラム』有信堂高文社, 2007, PP261-277
内:PP273-274
国際社会と憲法
ーーーーーーーフォーラム15