📘 5-3-2-2【必須項目55】民法第95条 民法第96条 民法第120条第2項

第 5 章 法律行為 2025/4/28 分


第 3 節 意思表示 2


2  詐欺


[Civil Code]
(錯誤)
Article 95
(詐欺・強迫)
Article 96
(Person with right to cancel)
Article 120
作成日 2025年4月28日(月)・22:37

作成者 宅建士: 浅田美鈴

keyword

表意者 法律効果 代理人 継承人


【必須項目55】

売買契約における当事者の一方のA の意思表示が錯誤によって無効である場合には、無効を主張することができるものは制限されている。また詐欺を理由として取消すことができる場合にも取り消し権を行使することができるものは制限されている。(H6 - 5)

答え  ◯ 制限されている

無効とは、法律行為にはじめから効果が認められないことである。そして無効とは誰かの主張によってその効力が失われるものではない。すなわち、無効は 誰からも 誰に対しても主張することができる。


錯誤の無効を主張できるものは、原則として表意者に限定されると解されている。

(最判 S 40.9.10)

理由としては錯誤による無効の主張は表意者の保護のために 認められているものであるからである。


「取消し」とは、一度成立した法律行為や意思表示を、遡って効力を失わせることを指します。つまり、その行為は初めから無効であったものとして扱われる。

具体的には:

取消しができる場合:

制限行為能力者の行為(未成年者の契約など)、詐欺や強迫による意思表示など、特定の状況下で認められる。

取消しができる人:

取消権を持つのは、基本的に本人、その法定代理人、または取消権を承継した者など。

取消し後の効果:

取消しがなされると、その法律行為は初めから無効であったものとみなされる。例えば、売買契約が取り消された場合は、買主は土地や建物の所有権を失い、売主は代金を返還する義務が生じる。(民法第120条第2項)


*無効を主張できる者には表意者の代理人または継承人も含まれる。


最高裁判所判例集

 

事件番号 昭和38(オ)1349

事件名 建物収去土地明渡請求

裁判年月日 昭和40年9月10日

法廷名 最高裁判所第二小法廷

裁判種別 判決

結果 棄却


判示事項

要素の錯誤による意思表示の無効を第三者が主張することは許されるか。

裁判要旨

表意者自身において要素の錯誤による意思表示の無効を主張する意思がない場合には、原則として、第三者が右意思表示の無効を主張することは許されない。


参照法条 民法95条

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53855


[民法]

(錯誤)

第九十五条

(詐欺又は強迫)

第九十六条

https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089


(取消権者)

第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。

2 錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵かしある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。

https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-Pa_1-Ch_5-Se_4


【画像の説明】

[Civil Code]

(錯誤)

Article 95

(詐欺・強迫)

Article 96


(Person with right to cancel)

Article 120

1. Omitted

2. An act that can be cancelled due to mistake, fraud or duress can only be cancelled by the person who made the defective manifestation of intention or his/her agent or successor.

https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

作成日 2025年4月28日(月)・22:37

作成者 宅建士: 浅田美鈴

*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*

ニュートン司法書士合格対策チーム 編著『NEWTON 合格保証 TLTソフト 司法書士テキスト 1 民法総則』NEWTON, 2008, P143