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【フォーラム5 外国人・法人の「人権」4 日本国憲法における基本原則 (3)-コラム7,コラム8】

 コラム7   🔷 都管理職試験/外国籍拒否は合憲/最高裁大法廷原告が逆襲敗訴 最高裁で判例が見れるし、他の「憲法」の判例集にも収載されている。 最高裁判例    https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52248 [朝日新聞2005年1月27日付けより] コラム8 🔷 入国外国人の指紋採取/テロ防止行動計画/写真撮影も義務化 9.11のテロ以来、変わったよう。   入国審査時に永住者らを除く外国人から指紋採取し、写真撮影を行うことを可能とする出入国管理及び難民認定法改正は、18年度の措置に明記した。 [産経新聞2004年12月11日より] * 最近また、変化があるような… コレです。 令和5年度外国人患者受入れに資する医療機関認証制度等推進事業について、事業実施者の公募を開始しました [厚生労働省サイト] https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202917_00010.html 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  P78, P81

【フォーラム5 外国人・法人の「人権」4 日本国憲法における基本原則 (3)-(ト) 参政権的機能を果たすような政治活動】

 外国人に選挙権を認めることは憲法違反か?【外国人参政権】 [法学 Cafe] https://foetimes.com/70/ 目次 1.なぜ、外国人の人権が問題になるのか? 2.外国人に選挙権を認めることは違憲か?   1.現行法では、選挙権は外国人にも認められる?   2.公職選挙法を改正し、外国人に選挙権を与えることは違憲? 3.まとめ 4.→ [禁止説] 禁止説の根拠として、「国民主権」が挙げられます。 [許容説] 許容説の根拠として、判例(最判平成7・2・28)の立場を引用すると、「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて」法律で選挙権を付与することは憲法は禁止していないとしました。 [要請説] 最後に、要請説の根拠として、「治者と被治者の同一性」が挙げられます。「治者と被治者の同一性」とは、「治める人も治められる人も同じ集団であるべき」だという意味です。 3.まとめ ・現行法では、外国人への選挙権付与は認められていない。 ・公職選挙法を改正して、外国人へ選挙権を付与することは、   国政レベル:違憲   地方レベル:違憲ではない → [通説・学説] 参政権的機能を果たすような政治活動ないし表現の自由は、外国人や外国法人に保障されない。 (畑 博行, 阪本昌成 1994, 82頁) 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  P82

【フォーラム5 外国人・法人の「人権」4 日本国憲法における基本原則 (3)-(ヘ)指紋押捺】

 最高裁判所判例集:指紋押捺   https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50119 事件番号  平成2(あ)848 事件名  外国人登録法違反 裁判年月日  平成7年12月15日 法廷名  最高裁判所第三小法廷 裁判種別  判決 結果  棄却 判例集等巻・号・頁  刑集 第49巻10号842頁 原審裁判所名  大阪高等裁判所 原審事件番号   原審裁判年月日  平成2年6月19日 判示事項  一 みだりに指紋の押なつを強制されない自由と憲法一三条 二 我が国に在留する外国人について指紋押なつ制度を定めた外国人登録法(昭和五七年法律第七五号による改正前のもの)一四条一項、一八条一項八号と憲法一三条 裁判要旨  一 何人も個人の私生活上の自由の一つとしてみだりに指紋の押なつを強制されない自由を有し、国家機関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは、憲法一三条の趣旨に反し許されない。 二 我が国に在留する外国人について指紋押なつ制度を定めた外国人登録法(昭和五七年法律第七五号による改正前のもの)一四条一項、一八条一項八号は、憲法一三条に違反しない。 参照法条  憲法13条,外国人登録法(昭和57年法律75号による改正前のもの)14条1項,外国人登録法(昭和57年法律75号による改正前のもの)18条1項8号 全文 全文PDFファイル [指紋押捺制度について] 1991年(平成3年)、時の首相であった海部俊樹が、大韓民国を訪問した際に調印された『日韓法的地位協定に基づく協議の結果に関する覚書』で、2年以内の指紋押捺廃止が決定し、1993年(平成5年)1月より、外国人指紋押捺制度は廃止された。しかし、911アメリカ同時多発テロを受けた2007年にテロ対策の必要性再燃を受け、外国人指紋押捺制度は復活した。しかし、外国籍指紋登録義務化復活ではあるが、一般の外国人の中で特別永住者のみ対象外とされている。(Wikipedia) ▪️令和5年入管法等改正について https://www.moj.go.jp/isa/policies/bill/05_00036.html ▪️入管法改正案について https://www.moj.go.jp/isa/policies/bill/05_00007.html 畑...

【フォーラム5 外国人・法人の「人格」4 日本国憲法における基本原則 (3)-(ホ)難民の保護】

  故郷を追われた人々無国籍者の庇護国または常居所国での基本的人権の保護、また、難民が迫害を受ける可能性のある国に、その意思に反して強制送還されないことを保障します。 長期的には、UNHCRは難民が出身国への自主帰還、庇護国における社会統合、第三国定住を通して適切な恒久的解決策を見つけることを支援します。 https://www.unhcr.org  › protection 難民保護 – UNHCR Japan UNHCR(国連難民高等弁務官事務所) https://www.unhcr.org/jp/high-commissioner 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  PP80-81

【フォーラム5 外国人・法人の「人権」4 日本国憲法における基本原則(3)-(二) 出入国の自由】

 ▪️出入国の自由について 〔参考 Site〕 外国人に出入国の自由・在留権はある?わかりやすく解説【憲法学】 https://foetimes.com/1010/ まとめ ◎外国人に出入国の自由はあるか? ・入国の自由:なし ・出国の自由:あり(憲法第22条2項で保障) ・再入国の自由:なし(判例)・学説では争いがある ◎外国人に在留権はあるか? ・在留権:なし(判例) ⏩️ 実質的な日本社会との紐帯が発生した場合、出入国管理及び難民認定法のみの解釈で、当該外国人を退去強制することは憲法上も問題と思われる。(畑 博行、阪本昌成 1994) 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  P80

【フォーラム5 外国人・法人の「人権」4 日本国憲法における基本原則(3)-(ハ)生存権】

 ▪️外国人の生存権 保障しないことは学説上批判されている。(畑 博行  阪本昌成  1994) 「外国人から『選ばれる国』にふさわしい生存権保障とは」 https://www.jicl.jp/articles/opinion_20230927.html ▪️1981年 難民条約への加入 [難民条約について] https://www.unhcr.org/e-treaty ▪️非合法外国人 出入国在留管理庁 (法務省) [入国審査官とは] https://www.moj.go.jp/isa/about/recruitment/juken_shinsakan.html [入国警備官とは] 入国警備官は、法律に違反する外国人に対して厳正に対処し、日本の安全と国民生活を守るため日夜活躍しています。 https://www.moj.go.jp/isa/about/recruitment/nyukan_nyukan06.html [生存権とはどんな権利ですか?] 日本国憲法では、すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する、としています。 これが生存権です。 病気になったりして失業したりして生活に困った場合は、生活に必要最低限の費用が国や自治体などから支給されます。 生存権に関わる、社会福祉や社会保障などをすすめることは国の責務であると定められています。 https://www2.nhk.or.jp › watch › clip 基本的人権 社会権 生存権-中学 | NHK for School 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  PP79-80

【フォーラム5 外国人・法人の「人権」4 日本国憲法における基本原則 (3)-(ロ)公務就任権】

 🟦 「職業選択の自由」ととらえるべき。 〔参考判例〕 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52248 最高裁判所判例集 3 事件番号  平成10(行ツ)93 事件名  管理職選考受験資格確認等請求事件 裁判年月日  平成17年1月26日 法廷名  最高裁判所大法廷 裁判種別  判決 結果  破棄自判 判例集等巻・号・頁  民集 第59巻1号128頁 原審裁判所名  東京高等裁判所 原審事件番号  平成8(行コ)62 原審裁判年月日  平成9年11月26日 判示事項  1 地方公共団体が日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることと労働基準法3条,憲法14条1項 2 東京都が管理職に昇任するための資格要件として日本の国籍を有することを定めた措置が労働基準法3条,憲法14条1項に違反しないとされた事例 裁判要旨  1 地方公共団体が,公権力の行使に当たる行為を行うことなどを職務とする地方公務員の職とこれに昇任するのに必要な職務経験を積むために経るべき職とを包含する一体的な管理職の任用制度を構築した上で,日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは,労働基準法3条,憲法14条1項に違反しない。 2 東京都が管理職に昇任すれば公権力の行使に当たる行為を行うことなどを職務とする地方公務員に就任することがあることを当然の前提として任用管理を行う管理職の任用制度を設けていたなど判示の事情の下では,職員が管理職に昇任するための資格要件として日本の国籍を有することを定めた東京都の措置は,労働基準法3条,憲法14条1項に違反しない。 (1,2につき補足意見,意見及び反対意見がある。) 参照法条  憲法14条1項,労働基準法3条,労働基準法112条,地方公務員法(平成10年法律第112号による改正前のもの)58条3項,地方公務員法13条,地方公務員法17条,地方公務員法19条 全文 全文PDFファイル 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  PP78-79

【フォーラム5 外国人・法人の「人権」4 日本国憲法における基本原則(3) - (イ) 国民主権の国政選挙- 地方自治体の選挙】

 〔参考判例〕   https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52525 最高裁判所判例集  検索結果一覧表示画面へ戻る 事件番号  平成5(行ツ)163 事件名  選挙人名簿不登録処分に対する異議の申出却下決定取消 裁判年月日  平成7年2月28日 法廷名  最高裁判所第三小法廷 裁判種別  判決 結果  棄却 判例集等巻・号・頁  民集 第49巻2号639頁 原審裁判所名  大阪地方裁判所 原審事件番号  平成2(行ウ)69 原審裁判年月日  平成5年6月29日 判示事項  日本国民たる住民に限り地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有するものとした地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項と憲法一五条一項、九三条二項 裁判要旨  日本国民たる住民に限り地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有するものとした地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項は、憲法一五条一項、九三条二項に違反しない。 参照法条  憲法15条1項,憲法93条2項,地方自治法11条,地方自治法18条,公職選挙法9条2項 全文 全文PDFファイル   *  今後の立法政策の問題として十分検討の余地が残されている。  畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  P78

【フォーラム5 外国人・法人の「人権」4 日本国憲法における基本原則 (2) 外国人には、選挙権・生存権・入国の権利は認められないとされる】

 (イ) 選挙権 「国民主権」の原理により、外国人には認められないとする。基本的人権に対する「公共の福祉」による制約ではない。 (ロ) 生存権 1981年に「難民の地位に関する条約」(難民条約)加入するまでは、外国人には認められていなかった。 (ハ) 入国の権利 外国人には認められない。 (最大判昭32・6・19)  通説的立場  からは 選挙権・生存権・入国の権利は、外国人には認められないと解されている。 だが、さまざまな見解がみられ、次の項であげる問題点も指摘されている。 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  PP76-78

【フオーラム5 外国人・法人の「人権」4 日本国憲法は、外国人にも基本的人権を保障する】

 「外国人」とは、法的には、無国籍者も含めてその国の国籍を保有しない「自然人」をいう。 [判例] 最高裁判所判例集 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56023 事件番号  昭和25(オ)349 事件名  人身保護請求 裁判年月日  昭和25年12月28日 法廷名  最高裁判所第二小法廷 裁判種別  判決 結果  棄却 判例集等巻・号・頁  民集 第4巻12号683頁 原審裁判所名  京都地方裁判所 原審事件番号   原審裁判年月日  昭和25年10月5日 判示事項  一 外国人登録令施行規則第一九条の執行者の署名捺印 二 被保釈者を行政権により拘束することの適否 裁判要旨  一 外国人登録令施行規則第一九条(昭和二五年九月三〇日政令第二九五号による改正前のもの)に規定する執行者の署名捺印がなくても、これにより退去強制令書の執行の要件は違法とはならない。 二 保釈中退去強制令書により一時拘束したとしても、これをもつてただちに行政権による司法権の侵犯ということはできない。 参照法条  外国人登録令(昭和25年9月30日政令295号による改正前のもの)16条,外国人登録令施行規則(昭和25年9月30日政令295号による改正前のもの)19条,刑訴法89条,刑訴法90条,憲法37条 全文 全文PDFファイル 最高裁判所判例集2 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53255   事件番号  昭和50(行ツ)120 事件名  在留期間更新不許可処分取消 裁判年月日  昭和53年10月4日 法廷名  最高裁判所大法廷 裁判種別  判決 結果  棄却 判例集等巻・号・頁  民集 第32巻7号1223頁 原審裁判所名  東京高等裁判所 原審事件番号  昭和48(行コ)25 原審裁判年月日  昭和50年9月25日 判示事項  一 外国人のわが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利と憲法の保障の有無 二 出入国管理令二一条三項に基づく在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断と法務大臣の裁量権 三 出入国管理令二一条三項に基づく法務大臣の在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無についての判断...

【フォーラム5 外国人・法人の「人格」3 解題のための基本情報 (2) 法人や団体も、個人の自由に大きな影響を及ぼす】

 [自然人] 神奈川大学  法学部 民法分野 「自然人」て、いったい誰のこと? 田口 勉先生 2021.07.30UP ▪️「自然人」と「法人」 ▪️   法律上の「人」 天賦人権思想は、民法以外でも、憲法では「法の下(もと)の平等」(日本国憲法14条)として認められています。なお以上述べた平等は、形式的平等と言われています。今日では実質的平等の実現が課題とされ、そのため「生存権」が規定されました(日本国憲法25条)。 〔参考URL〕 https://www.law.kanagawa-u.ac.jp/lecture/details/details_003.html ドイツ連邦共和国基本法 第19条3項 (3) 基本権は、内国法人に対しても、適用可能な場合には、その限りでこれを適用する。 〔参考URL〕 https://theaterangelus.com/grundgesetz/art19/#:~:text=%E7%AC%AC19%E6%9D%A1%20%5B%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E6%A8%A9%E3%81%AE%E5%88%B6%E9%99%90%5D&text=(3)%20%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E6%A8%A9%E3%81%AF%E3%80%81,%E3%81%AF%E3%80%81%E5%BD%B1%E9%9F%BF%E3%82%92%E5%8F%97%E3%81%91%E3%81%AA%E3%81%84%E3%80%82 アメリカ合衆国憲法修正第14条 「人」には法人が含まれるとの判断をくだした。 〔参考URL〕 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95%E4%BF%AE%E6%AD%A3%E7%AC%AC14%E6%9D%A1 法人格とは?わかりやすく解説!起業するなら知っておきたい基礎知識 (会社法にも触れておられます) https://www.ht-tax.or.jp/kigyou-guide/legal-entity 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文...

【フォーラム5 外国人・法人の「人権」3 改題のための基本情報 (1) 憲法上の権利は、「人」に対して保障される】

▪️ 憲法で使われている「国民」という用語は二つの意味を持つ。 (a) 「国民主権」「権力分立」 (b) 「国民の基本的人権」の保障 ▪️ 「国民」 ① 国家の構成要件としての国民 ② 国の政治のあり方を最終的に決定する主権の主体としての国民 ③ 選挙人団または有権者団と呼ばれる国家の統治機関としての国民 外国人は参政権が認められていないが、基本的人権に関する領域では、議論の余地か生まれてくる。 憲法上では「人」が、人権の享有主体性において対象となる。 ここでいう「人」とは、自然人だけではなく、法人や団体も含むことに注意して検討をすすめる。 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  PP73-74 *またページの改竄をされてました。   Pもひとつ省かれてました。(2024.05.21)

【フォーラム5 外国人・法人の「人権」2 解題に向けて】

 (1) 憲法が保障する基本的人権は誰に対して保障されるか。  (2) 外国人登録と憲法  (3) 基本的人権の享有主体が、個人(自然人) と考えられてきたのは、個人が国家権力に対抗していく防御壁であるが、所属する団体や共同体が個人を阻害することもある。 フォーラム5では、人権享有主体性について、外国人(自然人) 、法人(団体) を取り上げて検討する。 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  P72-73

【フォーラム5 外国人・法人の「人権」1 フォーラム5での課題】

 ➡️ 日本に長期滞在をする外国人 ・滞在が合法 ○🙆 ・1.そのような外国人が所定の在留期間を超過する。     2. 退去強制事由に該当するような犯罪を犯す ➡️ 出入国管理及び難民認定法二四条四 昭和二十六年政令第三百十九号 出入国管理及び難民認定法 内閣は、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件(昭和二十年勅令第五百四十二号)に基き、この政令を制定する。    https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326CO0000000319_20240401_505AC0000000063&keyword=%E5%87%BA%E5%85%A5%E5%9B%BD%E7%AE%A1%E7%90%86%E5%8F%8A%E3%81%B3%E9%9B%A3%E6%B0%91%E8%AA%8D%E5%AE%9A%E6%B3%95 〔阿部浩巳「出入国管理と家族生活の保護ー国際人権法の観点から」法学セミナー四四七号一六頁より〕 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  P71

【第2ステージの道筋と狙い】

 第1ステージを通して、近代国家の憲法制定の目的の一つが「基本的な人間の権利」の保障にあることを知った。 第2ステージでは、常識的な人権の発想に根本から反省を加えることを目的としている。 ① 「人権」の意味を真剣に問い直す 第2ステージで、「外国人・法人の『人権』」を議論しない。 ② 「基本的人権」の類型の意味を問い直す  社会権の保障は「国家による自由」で、「平等」という意味を真剣に問い直すことも、この第2ステージの課題である。 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  P70

【第2ステージ 基本権保障を考える】

 🔷 フォーラム5        外国人・法人の「人権」 🔷 フォーラム6        幸福追求権 🔷 フォーラム7       「法の下の平等」保障 🔷 フォーラム8        信教の自由と政教分離 🔷 フォーラム9        表現の自由 🔷 フォーラム10        財産権と生存権 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  P69

【フォーラム4 九条と平和主義 6 今後の課題 (2)集団的自衛権は「専守防衛」政策を見直させるか】

 自衛権には、「個別的自衛権」と「集団的自衛権」がある。 個別的自衛権と集団的自衛権の違いは? 個別的自衛権 とは、自分の国が攻撃されたときに、自分の国を守るために、武力で反撃する権利のことを言います。 集団的自衛権 とは、自分の国が攻撃されたわけではないが、自分の国と密接な関係にある国が攻撃されたときに、共同して反撃に加わる権利のことを指します。2022/03/08 https://ocw.u-tokyo.ac.jp › 2014_as... ウクライナ情勢をより深く理解するために~国際法入門 - UTokyo OCW 2 安保理の構成 安保理は、5か国の常任理事国(中国、フランス、ロシア、英国、米国)と、各地域に配分され、選挙により選出される10か国の非常任理事国から構成されています。2024/02/14 https://www.mofa.go.jp › anpori 国連安全保障理事会(安保理)とは|外務省 🇯🇵 日本の国連常任理事国入りのためにも「経済大国日本」にふさわしい国際貢献を求める声が高まる。 憲法制定以来、最も論争対象となってきた九条の「平和主義」は、戦争と軍隊を憲法によっていかに統制するか… 憲法第九条では建前的に日本には 軍隊がない。 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  P68

【フォーラム4 九条と平和主義 6 今後の課題 (1) 専守防衛政策は、今後も維持されるか】

 この著書は1994年に執筆されている。この当時より、我が国を取り巻く「ミサイル防衛」は、より一層厳しいものとなっているので、防衛省のwebsiteを参考にすることにした。 本書より 「中期防衛力整備計画(平成13年(2001)~平成17年(2005))において、弾道ミサイル防衛(BMD) システムを整備する方針を決めた。具体的には、イージス・システム搭載護衛艦や地滞空誘導弾ペトリオットを整備していく方針である。(平成15年(2003)12月19日、安全保障会議決定、閣議決定)」 防衛省・自衛隊 統合防空ミサイル防衛について https://www.mod.go.jp/j/policy/defense/bmd/index.html 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  PP67-68

【フォーラム4 九条と平和主義 5 九条をめぐる憲法判例】

 【警察予備隊違憲訴訟】 [朝鮮戦争を契機に1950年に設置された警察予備隊が憲法第九条に違反する→却下] 事件番号  昭和27(マ)23 事件名  日本国憲法に違反する行政処分取消請求 裁判年月日  昭和27年10月8日 法廷名  最高裁判所大法廷 裁判種別  判決 結果  却下 判例集等巻・号・頁  民集 第6巻9号783頁 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57366 ****************************************** 【砂川事件→破棄差戻】 [日米安保条約とアメリカ合衆国軍隊の駐留が争われた→破棄差戻] 事件番号  昭和34(あ)710 事件名  日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法違反 裁判年月日  昭和34年12月16日 法廷名  最高裁判所大法廷 裁判種別  判決 結果  破棄差戻 判例集等巻・号・頁  刑集 第13巻13号3225頁 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55816 「明白に違憲無効と認められない限りは、 裁判所の司法審査の範囲外にある」 ****************************************** 【恵庭事件→無罪】 北海道の恵庭町で、自衛隊演習場の近隣で 酪農 を営む2人の兄弟が演習場からの 騒音 により牛乳生産量が落ちたとして「境界付近での射撃訓練については事前に連絡する」と自衛隊と確約していた。しかし、自衛隊にその確約を破られたことから1962年12月11日火曜日、12日水曜日に自衛隊の着弾地点との通信回線を切断した。 これに対し、検察は通信回線は自衛隊法第121条の「その他の防衛の用に供する物」に該当するとして防衛器物の損害( 自衛隊法 第121条)で 起訴 した。一方、被告人の弁護側は、自衛隊法とそれにより存在を認められている自衛隊が憲法9条に違反しており、自衛隊法第121条は 違憲 であり無効であると主張した。 第1審の札幌地方裁判所の 1967年 3月29日 判決( 辻三雄 裁判長)では「武器、弾薬、航空機」という例示的物件との間で殆どこれと同列に評価しうる程...

【フオーラム4 九条と平和主義 4九条の平和主義の意義とその理解(3) 九条の理念はさまざまな原則の中で生きている】

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 (a) 第一は、昭和40年代以降の歴代内閣が、自衛のための「専守防衛」を基本原則として来た。 (b) 第二は、防衛費をGNP(国民総生産)の1%に留める努力。(昭和51年三木内閣での閣議決定) この著書が書かれたのが、1994年 現在の2024年においては 日本の2022年度予算の防衛関係費はGDP比1%弱ですが、自民党からはGDP比で「2%以上」に増やす案が挙がっています。 増額の目的として、敵の攻撃射程外から反撃する装備やサイバーなど新領域の部隊の増強が想定されています。 また、アメリカ軍との共同訓練の拡大も挙げられます。 2022/04/07 https://www.nikkei.com  › article 日本の防衛費、増額めざす理由は? - 日本経済新聞 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  PP62-64

【フォーラム4 九条と平和主義 4九条の平和主義の意義とその理解 🔷用語解説ー文民統制(シビリアン・コントロール)とは】

  文民 とは、シビリアン(Civilan) のことである。 文民統制の制度は、一般に文民による軍人・軍隊の支配・統制のことをさす。 憲法第六六条二項 「内閣総理大臣その他国務大臣は、文民でなければならない」と規定している。 宣戦布告・講和・軍隊の組織・規模の決定などを議会の権限に委ねる。→文民統制 国会は防衛計画を統制することができる。防衛に関する条約の承認機も有している。 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  PP60-61

【フォーラム4 九条と平和主義 4 九条の平和主義の意義とその理解 🔷 自衛隊の「偵察」ー文民統制逸脱の疑いも】

 🔷 自衛隊の「偵察」ー文民統制逸脱の疑いも 〔朝日新聞1993年5月21日付けによる〕 西元陸幕長の記者会見の中で、「偵察」 について「偵察」について「自衛隊の任務の遂行に必要な情報収集のために、情報を交換する」 この「偵察」という業務は、PKO協力法に盛り込まれた任務。 「政府として指示したものではない」  「輸送業務」 PKO協力法とカンボジアPKO実施計画の既定にある。 選挙監視要員に食料や水を運んだり、施設大隊の車で選挙監視要員を運ぶことで、施設大隊と選挙監視要員が一緒にいる時間をできるだけ増やすことが安全確保に繋がる。 事実上の「警護」活動をするぎりぎりの拡大解釈の結果だった。 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  PP58-59

【フォーラム4 九条と平和主義 4 九条の平和主義の意義とその理解 (2) 九条の解釈 通説と内閣の見解】

 ▪️ 九条の解釈の争いについて著されている。  ▪️ 憲法学説について     →武器なき自衛権論     →近代戦争遂行能力 (1952)     →独立国家に固有の自衛権 (1954) ▪️ 学説における少数や内閣の論拠    1. 国際紛争を解決する手段として        ・国際法の侵略戦争をさす        ・自衛戦争を禁止する意味を持たない    2. 前項の目的を達するために        ・侵略戦争の放棄をさす    3. 交戦権について         ・戦争を行う権利と解する         ・交戦国が国際法上有する諸権利    4. 九条は「自衛権」について何も言及してい           ない。         「自衛権」は、国際法上も認められてお                 り、九条もこれを否定するものではな               い。 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  PP60-62

【フオーラム4 九条と平和主義 4 九条の平和主義の意義とその理解】

 (1) 九条の平和主義は諸外国の憲法と比べ特異である ▪️先ずは大日本帝国憲法についてのべられている。 ・軍の統治権を委ねられた天皇(11条)、軍の編制大権(12条)、宣戦講和の大権(13条)も天皇に属し、軍に対するシビリアン・コントロールが 不十分であったため、悲惨な戦争を招いてしまった。 ・日本国憲法は「政府の行為によって再び戦争の惨禍がおこることがないやうにすることを決意し」(前文) ・敗戦後における日本の支配層は、天皇の戦争責任を回避し天皇制の存続をはかることにあった。九条の骨子は、マッカーサー・ノート三原則にあり、歴史的アイロニーといわれる。 ・国際協調主義の実現。 ・包括的に戦争を放棄、戦争に連なる軍備をもたず、平和的生存権を構想、国際協調に訴える、という諸点が、日本国憲法の平和主義の特質として、みられる。 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  PP58-60

【フォーラム4 九条と平和主義 3 解題のための基本的情報 (2) 政治の現実→憲法に優位】

 🟢 ここ数年「答申素案」の実現とすべく一連の法律が制定された。 ▪️ 「周辺事態法」 重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(平成十一年法律第六十号) 施行日: 令和三年九月一日 (令和三年法律第三十六号による改正) https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC0000000060_20210901_503AC0000000036 ▪️ 「テロ対策特別措置法」 平成二十六年法律第百二十四号 国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する財産の凍結等に関する特別措置法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=426AC0000000124 ▪️ 「イラク復興特別措置法」 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法 (平成15年8月1日法律第137号) 最近改正 平成19年6月27日法律第101号 https://www.blogger.com/blog/posts/8327486650394160550 ▪️ 平成十五年法律第七十九号 武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0000000079 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  PP56-58

【フォーラム4 九条と平和主義 3 解題のための基本情報 ▼用語解説 PKO,PKF】

 🟢 PKOとは、 国連平和維持活動(PKO:Peacekeeping Operations) 🟠PKFとは PKFとは PKF(Peacekeeping Forces)本体業務凍結解除など 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  P56

【フォーラム4 九条と平和主義 3 解題のための基本的情報】

 (1) 小沢調査会答申素案の背景ー湾岸戦争 1990年8月2日   イラク軍がクウェートに侵攻からはじまり、「PKO協力法」の成立までの沿革が著されている。 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  PP54-56 「国連平和維持活動等に対する協力に関する法律」 内閣府のサイト Q 1 国際連合平和維持活動( PKO )とはどのようなものですか。 A 国際連合平和維持活動は、伝統的には、紛争が発生していた地域において、その紛争当事者の停戦合意が成立したあとに、国際連合が安全保障理事会(又は総会)の決議に基づいて、両方の当事者の間に立って停戦や軍の撤退を監視することで再び紛争が発生することを防ぎ、対話を通じた紛争解決が平和に着実に実行されていくことを支援する活動です。 冷戦終結後は、宗教対立や民族対立に基づく内戦や紛争が増大し、国連が紛争解決に果たしてきた役割が見直されるにつれて、 PKO の任務も多様化しました。具体的には、伝統的な任務に加え、選挙の実施、文民警察の派遣、人権擁護、難民支援から行政事務の遂行、復興開発まで多くの分野での活動を任務とする PKO が設立されるようになりました。国際平和に対する PKO の貢献は高く評価されており、1988年には国連 PKO はノーベル平和賞を受賞しています。

【フォーラム4 九条と平和主義 2 解題に向けて】

 (1) [課題] の一文 自民党の「国際社会における日本の役割に関する特別調査会」 (会長・小沢一郎、通称小沢調査会) の答申素案である。 憲法の全文から「積極的・能動的平和主義」 を導き、「海外での武力行使」を容認。 (2) 近代立憲主義憲法 国家の基本法 : 国の最高法規/ 手厚く人権を保障/ 国家機関の組織のあり方/ 権限を定める国家の基本法。 日本国憲法第九条 一切の戦争を放棄し、戦力を保持しない。 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  P54 ★ また改竄されてました。タイトルの「主義」の削除です。(2024.05.05) ★2024.04.25〜『フォーラム』を『フオーラム』に改竄されていました。(2024.07.011)

【フォーラム4 九条と平和主義 1 フォーラム4での課題】

  安全保障に関する日本の持つべき理念 →〔自民党小沢調査会答申素案、朝日新聞1992年2月20日付より〕 (1) 積極的・能動的平和主義  憲法の前文   「今こそ、我々は、日本国憲法の平和主義の本質とは何かについて、根本的な考察を加えなければならない」 こうした憲法の精神は、消極的平和主義や一国平和主義とは全く異なる積極的、能動的な平和主義の精神である。 (2) これまでの政府解釈においては、憲法第九条では自衛のための必要最少限度の実力行使は許されているが、それ以外の実力行使は憲法の禁止する武力の行使に当たり、許されないと解されている。 当該実力行使が「国際平和の維持・回復」という目的に沿ったものになる。 したがって、そのような場合には、仮に我が国が海外で実力を行使したとしても、それは憲法九条の禁止する我が国の「国際紛争解決手段としての戦争・武力行使」 には該当せず、憲法九条にも抵触しないと考えられる。 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  P53

【6 今後の課題 (1) 憲法上、非政治化された象徴天皇制の後退/(2) 皇室財政に対する国会のコントロールは?】

  PDF https://drive.google.com/file/d/1Wx57vHPnMA_INZOHDVPM4w85BvTN9oiN/view?usp=drivesdk 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  PP51-52 

【5 天皇の権能 (3) 「内閣の助言と承認」 → 象徴天皇制独自の制度】

 日本国憲法第三条 「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の 助言 と 承認 を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。」 と、規定している、 「助言と承認」 の意味については、不可分一体の行為であり、「進言」ないし「補佐」 を意味する。 〔判例〕 東京地判昭28・10・19 東京高判昭29・9・22 内閣の助言と承認の二つの行為が必ずなければならないとした。 畑  博行  阪本昌成『憲法フォーラム』 有信堂高文社,  1994,  PP50-51